大学職員になりたいんだけど…経理のお仕事ってどんなの?
こんな人もいるでしょう。
大学職員の仕事内容は多岐にわたります。
その中でも、今回は「経理課」と呼ばれる部署の仕事内容について、現役大学職員の私が解説します。
大学事務と聞くと、窓口対応を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ですが、当然、裏方で働く部署もあります。
その一つが経理課です。
大学によっては財務課などとも呼ばれるでしょう。
今回は、大学事務への就職及び転職を希望する人に向けて、あまり語られることのない大学の「経理」という仕事の実態についてお話します。
この記事を読むことで、アナタは大学の経理の仕事がどんなものか理解できます。
どんな仕事かを知っておくことで、気持ちに余裕をもって大学の経理という仕事に臨めるようになるでしょう。
ちなみに、私は8年目の現役大学職員です。
ぜひ、参考にしてください。
この記事は5分程度で読めます。
大学経理の仕事内容
大学事務のひとつ、経理の具体的な仕事内容です。
私の勤める大学に則した紹介になっています。
そのため、仕事によっては他の部署で管轄している大学もあるかとは思いますが、概ね同じと考えてもらって大丈夫です。
やること自体は少ないように見えますが、ひとつひとつ丁寧にこなす必要があります。
では、具体的にご紹介しますね。
請求書に基づく支払業務
経理の仕事で、メインとも言えるのが支払処理です。
それだけ?という感じに聞こえるかもしれませんが、イレギュラーが多いのが特徴です。
では、具体内容を箇条書きして紹介していきます。
出納業務
出納業務は、主に経理担当が作成した伝票をもとに相手先に支払いを行う担当です。
ですが、支払いだけでなく銀行残高の確認や金庫の管理も行う縦横な役割です。
また、本学だけかもしれませんが、非正規職員の年末調整も仕事になります。
大学経理仕事の実例
大学事務のひとつ、経理の具体的な仕事内容です。
支払いのやりやすさは、学科によっても大きく異なります。
基本的には、企業の経理とやることは変わらないのではないのでしょうか。
ですが、経理仕事には大学らしい特徴もあります。
では、具体的にご紹介しますね。
学科ごとの支払い事務
学科ごとの支払い事務は、イレギュラーとの戦いです。
大学には、ご存じのとおりいくつか学科を併設している場合が多いです。
私の勤める大学では、その学科ごとに支払いの担当が分かれています。
基本的に、どんな学科を受け持っても流れは大きく変わりません。
という流れになります。
これだけ聞くと簡単なように思いますが、そうはいきません。
その理由は、
- 教授の依頼忘れ
- 請求書が届かないなどの問題
- 現地調達からの、そのまま現地消費
そして、たいていの場合は「もう使ってしまったから」とあいまいになりがちです。
上記の例以外にも、「急遽外部講師を呼ぶことになったから報酬支払いを頼む」など、イレギュラーが発生しますが、挙げるとキリがありません。
経理の仕事は、きっちりしているように見えて、あいまいな部分も多いので、柔軟に対応することが必要です。
一方で、「守るところはしっかり守る」という決まりがあるので、教授に譲歩しすぎないのも大事なスタンス。
予算管理
予算管理は、学科と役員との間の板挟みの戦いです。
予算管理も経理課の大事な仕事です。
その仕事内容は、
主に忙しくなるのは年度末ですね。
-
来年度、何に予算を使っていくかを決める
役員の方と綿密な会議を重ねて、来年度どのように予算を使っていくか決めていきます。
お金のあるマンモス校では、もしかしたら素早く決めることができるかもしれませんが、本学のような低予算大学では予算決めも一苦労です。
私は直接関わってはいませんが、役員と20回以上会議を重ね、予算担当の方が残業しながら頭を抱えているのを見ています。
この苦悩こそ、低予算大学の現実です。
-
学科ごとの予算を振り分ける
また、予算担当は学科ごとの予算振り分けにも気を配らなければなりません。
学科から、「なぜうちの予算が少ないんだ!」とクレームが来ることもありますし、逆に余ることもあります。
しかも、予算が余ったところで、ほかの学科に回すことができないため自由に使うこともできません。
この点についても、「柔軟に対応しろ!」とクレームが来ます。
いずれにせよ、予算担当は教授とのクレームと、役員との板挟みの戦いなのです。
決算業務
決算業務は、時間と正確性の戦いです。
決算業務は、いわば年度の集大成。
当然、間違いは許されません。
-
役員への前年度支出・収益の報告
忙しくなるのは4~5月。
4~5月は日を跨いで残業することも少なくありません。
なんせ、役員に前年度の支出・収益を報告しなければなりませんから。
他大学ではわかりませんが、本学では決算担当は一人です。
決算担当は支出業務を行う経理担当に声掛けをし、可能な限り早く決算報告書をまとめます。
ですが、あとから教授が「出し忘れていた」なんてこともしばしば。
そのたびに修正が必要になります。
修正を繰り返し、冊子を作り上げ、HP上に決算報告書を掲載するまでが決算担当の主な仕事になります。
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月次報告書の作成
月次報告書を作成する際には、各経理担当への声掛けも欠かせません。
ここでも、教授からの購入申請や請求書提出が遅かったりするわけですが、そこはある程度柔軟に対応しています。
ちなみに、弊学は決算担当が経理システムの管理もしています。
出納業務
出納業務はその名のとおり、実際に相手先にお金を支払う担当です。
経理担当が支払いのための伝票を作成し、その伝票をもとに相手先の口座にお金を支払うのが出納担当です。
-
支払伝票をもとに相手先に支払いを行う
経理担当が作成した支払伝票をもとに、相手先に支払いを行います。
基本的には、ある特定の決まった日付に一気に相手先に金額を支払う形になるのです。
本学では、中間払いと月末払いの2回に分かれており、どちらかで支払います(大抵は月末払い。)
たまーに、支払期日を間違えて遅れてしまうことがありますが、大抵の場合は相手先が許してくれることがほとんどです(たまに、延滞料を求められる場合もあります。)
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預金残高の管理をする
毎月、予算残高の管理をします。
支払金額が足りなくなることを防ぐためです。ほとんど起こりませんが。
本学では口座が二つあるため、各口座の残高を逐一チェックしています。
ただし、EXCELと通帳とのダブルチェックを行っているので、預金残高に差額が出た場合は必死で原因を探ることに。
もちろん、担当は一人なので。。一人で行います。
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物品の管理をする
物品の管理も出納が行っています。
もしかしたら、他大学では違うかもしれません。
物品の管理とは、
というものです。
この処理が、管理番号シールが勝手にはがされていたり、勝手に捨てられていたりと、意外とうまくいきません。
逐一、物品の所有者に声をかけるしかないのです。
旅費計算
旅費計算は、はっきり言って経理担当で最も大変な仕事です。
理由は、教授が決まりどおりの遠征をしないためです。
これだけ聞くとシンプルですね。
しかし、旅費の計算には非常にてこずります。
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旅費の計算
まず、本学ではタクシーによる移動は認められていません(旅費が多くかかるため)のですが、何かと理由をつけて教授はタクシー移動を求めます。
また、電車移動の場合は規定上、大学の最寄駅から目的地の最寄り駅までの旅費を出すことになっているのですが、なかなか納得してもらえません。
結果、旅費をめぐる言い争いが起き、簡単に決まるはずの旅費がすぐには決まらないのです。
こうした言い争いは多々あります。
ゆえに、旅費を決定するのに多くの時間がかかり、必要以上の業務を任されることになります。
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旅費の支払い
旅費の支払いにおいても、すぐには決着がつきません。
旅費の支払いには飛行機を使た場合は半券が必要になりますし、高速を使った場合はETC代金のクレジット明細が必要になりますが、なかなか提出してもらえないのです。
挙句、「いつになったら払ってもらえるんだ」という始末。
実際、書類未提出のために数年旅費支払いができていない教授もいます。
内容は少ないように見えて、旅費の支払いの仕事内容は濃いですね。
大学経理担当に最も必要な能力一つ
経理担当に最も必要な能力は、ズバリルールを遵守する力です。
なぜなら、支払いにはしっかりした決まりがあるからです。
例えば、教授方は大学のルールを無視した支払方法、
- 現地調達不可のものを現地調達で支払い依頼
- 領収書や請求書がないにもかかわらず支払いを要求
上記を平気で行ってきます。
上記のような不正処理を求められたとき、あいまいに回答してはいけません。
きっちりとルールに従って断ることが必要です。
教授によっては、意見してくる人も少なくともいます。
ですが、折れてはいけません。
毅然とした態度で、「無理なものは無理」と言うようにしましょう。
でないと、例外はどんどん増えていき、最終的にはルールは形だけのものになってしまいます。
つまり、決められたルールを遵守し、折れずに主張する力が経理課には必要と言えます。
まとめ
今回は、大学事務の中でも経理の仕事内容について解説しました。
内容は以下のとおり。
この記事で、大学の経理担当がどんなものかイメージしていただけたでしょう。
就職先として、大学職員を考える際の参考になればうれしく思います。
長文お読みいただきありがとうございました。
他の部署の仕事内容についてもぜひどうぞ↓↓
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