「大学職員を目指してるんだけど…教務の仕事ってどんなの?」
こんな人もいるはず。
大学職員の仕事内容は多岐にわたります。
その中でも、今回は「教務課」と呼ばれる部署の仕事内容について、現役職員が解説します。
「教務」と聞くと、大学の事務窓口を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
私の勤める大学でも、大学の事務窓口のことをまとめて「教務」と呼ぶ学生は大勢います。
ですが、実際のところ「教務」は大学事務の一部署にすぎません。
今回は、大学事務への就職及び転職を希望する人に向けて、あまり語られることのない「教務」という仕事の実態についてお話します。
この記事を読むことで、アナタは教務の仕事がどんなものか理解できます。
どんな仕事かを知っておくことで、気持ちに余裕をもって教務という仕事に臨めるようになるでしょう。
ちなみに、私は現役8年目の職員です。
早速まいりましょう。
5分程度で読めます。
教務の仕事内容
大学事務のひとつ、教務の具体的な仕事内容です。
私の勤める大学に則した紹介になっています。
そのため、仕事によっては他の部署で管轄している大学もあるかとは思いますが、概ね同じと考えてもらって大丈夫です。
少ないように見えますが、ひとつひとつ時間がかかるのが特徴です。
では、具体的にご紹介しますね。
授業の設定・管理
教務の仕事で、メインとも言えるのが授業の設定と管理です。
それだけ?という感じに聞こえるかもしれませんが、実際のところは目一杯仕事があります。
では、具体内容を箇条書きして紹介していきます。
学生の単位・成績管理
学生の単位を管理するのも、教務課の大事な仕事です。
こちらも具体内容を箇条書きし、一言で紹介していきます。
教務仕事の実例
紹介した仕事内容について、より具体的な対応例をいくつかご紹介します。
こちらについて、より具体的に解説しますね。
授業日程決定までの流れ
授業日程の決定は、前年度の1月あたりから始めます。
流れは、
- 教務担当と教授、役員で当年度の開講科目を決定
- 学科や、使用する教室の規模、開講科目数などのバランスに最大限の配慮をして教務担当が時間割を決定
- 教務担当が、実際に授業を行う教授方に時間割の内容を相談
- 教務担当が授業の入れ替えなど細かい微調整
- 教務担当がデータを作成し、確定教務担当が確定した時間割を学生全体に公開
こんなところです。
あっさりと書きましたが、とても大変な作業です。
その理由は、
以上が大きな理由です。
特に、教授方と相談して授業を決定するのは大変です。
例えば、教授同士で相談した結果、決裂し、教務担当が仲を取り持つこともあります。
「開講するなということですか!」と一方的に責められることもあります。
基本的には、教授と教授の架け橋となって、お互いができるだけ不利益を被らないようにするのが、教務担当の役割です。
また、決定までの期間も短いので効率よく(もちろん残業しつつ)かつ地道に対応する必要があります。
非常勤講師手配の流れ
非常勤講師の手配も、開講科目の決定と同時に行います。
流れは、
- 教授が非常勤講師に直接、授業を依頼(もしくは教務に推薦)
- 教務担当が非常勤講師の開講科目を教授から聞き取り。
- 教務担当が非常勤講師の予定を聞き取り。
- 非常勤講師の予定に応じて、教務担当が時間割を作成。
- 時間割が決まったら、教務担当が出向表データを作成。いつどの非常勤講師が出向したか管理する。
- 非常勤講師の出向日数に応じて、報酬を決定(予算は事前に確保している)
こんなところです。
非常勤講師については、報酬の管理等も教務課で行っているのが特徴です。(大学によって管轄が違うかもしれません。)
非常勤講師の手配で大変なところは、
- 連絡する相手がとにかく多い(本学では100名以上)
- 遠くから出向する講師も多いので、旅費や宿泊費も細かく管理しないといけない
教授が受け持つ授業よりも、時間割はすんなり決まります。
ですが、新たに連絡を取る講師の方も多かったりするので、コミュニケーションが大変です。
教授が間に立ってくれることも多いですが、その教授がなかなか非常勤講師の方に連絡してくれない、なんてことも。。
実習調整の流れ
実習の調整も、教務の大事な役目です。
主には、年度の初めに年間の実習について調整します。
ですが、後期の初めに調整、なんてこともあります。
流れは、
とてもシンプルな流れで、大変そうなところはないように思いますが、そうはいきません。
- 教授から、突然の日程変更の連絡あり
- 時期によっては、バスなどが全て予約いっぱいでおさえられない
- 教授からの報告がなく、精算作業ができない
特に、費用精算ができないと実習先との関係悪化にもつながります。
例えば、実習費用の入金がないと実習先から何度も電話がかかってきて、「教授からの報告がない」と言っても納得はしてもらえません。
そして、教授に報告書を提出するようお願いしても、「先に払っておいてくれ」と言われたりすることもあります。
なので、教務担当がうまく実習先をなだめ、教授に早く行動するようにうまく促す必要があります。
単位確認の流れ
単位認定は、学期末に一気に忙しくなります。
証明書の発行や、卒業認定にも関わる大事な仕事なので、遅れは絶対に許されません。
流れは、
- 試験やレポートの結果から、教授が合否を判定
- 教授から教務課へ学生の合否の連絡
- 教務担当が学生全体の合否を取りまとめ、当期の取得単位をデータ入力
- 取得単位データから、成績証明書の作成や、卒業・進級を判定
というような流れです。
単位確認の注意点は、全教授からの連絡を受けないといけないという点。
当然、一人でも抜けていると正しい取得単位が出せないわけですが、なかなか合否判定を出してくれない教授もわずかながらいます。
実際、一人の教授がテスト採点を後回しにしまくったために、教務課の職員が総出で残業して成績証明書を作成したというようなこともありました。
教授に対して根気よく、何度もアプローチすることが大切です。
教務担当に最も必要な能力一つ
教務担当に最も必要な能力は、ずばり「折衝力」。
理由は、教務担当は、教授と学生や外部の団体との架け橋になるのが役目だからです。
教務の仕事はとにかく縁の下の力持ち的な内容。
例えば、授業日程の決定という形で教授と学生をつなぎます。
またある時は、実習の手配という形で教授と外部団体をつなぎます。
教授という人種は、こちらから働きかけないとなかなか動いてはくれません。
一方で、無理に押しすぎると猛反発を受けます。
なんせ、教授にとって報告や手続きなどの事務作業は何の得にもなりませんから。
なので、力加減をバランスよくコミュニケーションをはかる力、つまりは折衝力が最も大事になるのです。
まとめ
今回は、大学事務の中でも教務の仕事内容について解説しました。
この記事で、教務事務がどんなものかイメージしていただけたでしょう。
就職先として、大学職員を考える際の参考になればうれしく思います。
長文お読みいただきありがとうございました。
他の部署の仕事内容についてもぜひどうぞ↓↓
genekidaigakusyokuin678.hatenablog.com
genekidaigakusyokuin678.hatenablog.com
genekidaigakusyokuin678.hatenablog.com